BLOG 『広報誌づくりの困った!を解決』

医療機関に勤務され、医療広報誌の制作に携わっておられる担当者の方から弊社に寄せられる質問の多くが「原稿」についてです。今回は、この原稿について「読み手に合わせて書き換える」をキーワードにコツをお伝えしたいと思います。

 

意識したい「読み手」の層

 

1.読者が男性か女性か、もしくは男性・女性両方向けであるか

2.読者が成人か否か、低年齢の子供向けかどうか

3.読者にとって、掲載する企画(原稿)がお馴染みのものであるかどうか(聞きなれない言葉かどうか)

4.読者が一般の患者さんなのか、医療者向けであるかどうか

 

最低でも上記4点は、明確にした上で原稿を書いたり、担当医師や担当部門への原稿依頼をするようにしましょう。

 

読み手を意識して原稿を書く理由

 

医療広報誌は、読んでくれる人を意識して、同じテーマでも原稿の書き方を変える必要があります。理由を、『子宮内膜症 当院の取り組み』を例にして説明します。

 

  1. 男女別を考えると、この場合は疾患の特徴を踏まえると9割以上の読者は女性です。原稿の文体は「優しく」、また、疎外感を受けないよう語り口調が望ましいです。

 

  1. 成人か否かですが、これは貴院が伝えたいターゲットにより異なります。低年齢化している実状や10代でも起こり得る「重い月経痛」をフックに子宮内膜症の周知・将来の妊娠の可能性までを啓蒙する主旨がある企画ならば、10代の女性も読む前提で、分かりやすく説明する原稿にしなくてはなりません。また「年代別」を意識して症状解説やチェック項目を原稿内に入れるのも得策です。実際に、子宮内膜症の院内パンフレットを制作する際「10代(中学生・高校生向け)」と「大人の女性向け」2種を分けて制作し、配布対象者の年齢によって選べるようにしている病院もあります。

 

  1. 「読み手にとって聞きなれた言葉であるか否か」ですが、こちらも、企画趣旨によって、その原稿は変わってきます。「重度の月経痛が子宮内膜症へとつながってしまう」可能性をティーンの方々に啓蒙する場合と、既に「子宮内膜症かも?」と思っていたり、健診等で「子宮内膜症の可能性あり」となった方に早めの診察を促す場合では説明すべきこと、原稿の内容が異なってきますよね。

 

  1. 最後に「患者向け広報誌か、医療関係者向けか」についてですが、近年、地域医療連携広報誌を発行する病院が増えています。この場合、近隣地域のクリニックの先生方に向けて「貴院の子宮内膜症に対する取り組み」とお伝えするのが役割になります。そこでは「子宮内膜症とは?」のような患者さん向けの原稿は不要です。それらに代わり原稿に書かなくてはならないのは「患者紹介基準」「貴院ならではの治療体制」「妊孕の観点からの手術方針」等、手術治療の場合のバックアップ体制です。地域の先生が対症療法やホルモン治療ではなく手術が必要と判断し、患者さんに対し「うちでは低侵襲手術はしないけど、●●病院なら内視鏡手術も可能です」と患者さんに紹介してくださることを念頭に置き、原稿では、その患者紹介に繋がるよう広報していきたいところです。

広報誌は、手に取った人が「これは私のために書かれた内容だ!」と感じることで本当の意味での購読率、集患率が上がるツールです。誰だって、その他大勢に向けて書かれた冊子より、自分だけのために書いてある!と感じられる方が、参考にしようと思えますし、購読意欲もわきますよね!?

同じ疾患について広報誌で扱う場合も、配布対象者、読み手を意識して原稿をつくっていきましょう。