
待合室や受付などの院内で配布されている病院広報誌。気軽に手にとっていただけるよう、配置場所にも工夫をされているかと思いますが、認知度や閲読率はいかがでしょうか。
どんなに手に取りやすい場所に置いていても、実際に読んでもらわなければ意味がありません。人は目に入っている情報でも、興味がないと無意識に遮断してしまいがちです。無意識に見ている視界の中で目に止まる広報誌となるには、顔である「表紙」がカギを握っています。ビジュアルはもちろん、読みたくなる記事タイトルが掲載されていることが、読者が手に取るきっかけの一つになります。
思わず手に取りたくなる心理
表紙に書かれたタイトルだけで「何が書かれているのか」「どんな情報が得られるのか」がわかるような、興味が持てる表現はされていますか?
広告業界には、1900年代前半に敏腕広告マンとして活躍したマクスウェル・サックハイムが提唱した三原則「3NOT」が広く知られています。
①NOT READ(読まない)②NOT BELIEVE(信じない)③NOT ACT(行動しない)
要するに人は“コピーを読まない、読んでも内容を信じない、内容を信じても行動しない”ということであり、どの分野のターゲットにも例外なく当てはまる心理です。
CMや電車の広告など、日常生活の中にはたくさんの広告があふれていますが、興味がなければなかなか頭には残りません。自分にとって必要な広告(情報)であるかどうかの判断は一瞬です。これは広報誌も同様で、読者はキャッチコピーやタイトルの情報で“気になる” “面白そう”などの判断をします。タイトルには“手に取って開いてみたくなる”気持ちさせる重要な役割があるのです。
読者の興味を引く企画を中面で組み、誰にでも分かりやすい表現で感覚的にイメージがしやすい言葉や、意外性のあるフレーズを表紙に落とし込んで、アピールしましょう。
読ませることだけに特化させない
ただし、第1のハードルである“読ませることだけ”に注力してはいけません。肝心の中面の記事との一貫性はもちろん、共感を得られたり、タメになる情報を掲載し、信頼へとつなげることが必要です。
読者は、それぞれが置かれている状況や気分の中で「今の自分に関係がある」と感じなければ、なかなか関心にはつながりません。メリットであると感じる部分が明確であればあるほど、Not Read(読まれない)の壁を突破できる確率は高くなります。デザインの力を活用しつつ、読者の心理にも配慮して誌面をつくるように心がけましょう。