医療広報誌の創刊やリニューアルにあたっては、ターゲットとする読者層、掲載内容、発行頻度や仕様など、決めることがたくさんあります。
中でも大仕事の一つと言えるのが医療広報誌の媒体名(タイトル)を決定すること。タイトルは一度名前を付けてしまうと、毎号変更するわけにはいきません。だからこそ、慎重にそして十分に検討を重ねる必要があります。
媒体名の付け方は大きく分けて2パターン
媒体名は、表紙の一部を担う大事な要素です。一般的にタイトルの付け方には大きく分けて2つのパターンがあると考えられます。
1.病院名や施設名を使ったタイトル
病院名や理念、基本指針などに由来している媒体名は、ひと目で病院または施設に関連する発行物であることが分かりやすいといえるでしょう。ありがちなパターンに感じられるかもしれませんが、シンプルな方法だからこそ読者の目を引きやすいという特徴があります。
例
・病院名・施設名+ニュース
・病院名・施設名+だより
・病院名・施設名+マガジン
・病院名・施設名+通信
2.発行目的を盛り込んだタイトル
発行の目的や狙いに由来したタイトルにする方法も、医療広報誌によく見られます。なぜこの媒体を発行しているのか、どのようなメッセージ性を持たせたいのかをタイトルで表現することで読者に伝えられます。
例
・かけはし、きずな…病院・施設と地域社会が広報誌によって結びつくという思いを込められます。
・えがお、やすらぎ…病院や施設が利用される皆様にとってどのような場所でありたいかを表すことができます。
上記の他にも、SMILE、VOICEなどとアルファベット表記にするとスタイリッシュな印象になります。また、各都道府県、市区町村が選定している花や鳥をタイトルに用いる場合もあります。地域とのつながりや共に歩んでいくという思いを込めることができます。
媒体名が決定したらデザインにも工夫を
柔らかい印象にするのか、歴史を感じさせる重厚感のあるものにするのかデザインの選択肢もさまざまです。手書き風文字にしたり、ロゴ化したりする方法もあります。
また、タイトルカラーにも意識を向けたいところです。病院のテーマカラーを用いると、統一感があり目も付きやすくなります。四季に合った色を使用するのも発行月を連想しやすくなるでしょう。
また、病院・施設がどうみられるべきかというインナーブランディングの視点を持つことも大切です。タイトルの一例としてご紹介したように、患者さまの笑顔を増やしたいというイメージをお持ちでしたら、温かみを感じる色や、柔らかい印象が与えられる書式にするなどデザインへの配慮をしましょう。
医療広報誌は書店に並んでいる雑誌とは違い、残念ながら隅々まで読まれることは少ないかもしれません。しかし、医療広報誌で見られる可能性が高いページは表紙です。表紙は医療広報誌の「顔」、そして媒体名は「目」と言えるのではないでしょうか。創刊やリニューアルをお考えの際には、ぜひ媒体名にもこだわってみてください。