病院広報誌制作に携わる中で、ご担当者の皆さまが気をつけていることのひとつは「なるべく簡単に、医療に関する知識が少ない人にも伝わるようにする」ことではないでしょうか? 難解な医療用語や症例など、工夫して表現していかなければならないのが病院広報誌制作の難しいポイントにもなっています。
図解やグラフ、エビデンスに基づいた解説など丁寧に書き上げるほどに情報量が多くなってしまい、結局伝わりにくい誌面が出来上がってしまった…という経験をお持ちのご担当者さまも多くいらっしゃるのではないでしょうか?
ここで本当に気を付けなければいけない本当の落とし穴は「伝える内容のレベルを下げて誌面を作ってしまうこと」です。たとえば、わかりやすい誌面をするために誰もが知っているような「夏バテ対策」や「熱中症対策」などをテーマとして取り上げてしまうような例が挙げられます。たしかに誌面制作の難易度は格段に下げることはできますが、それは本当に患者さんが知りたい情報なのか一度立ち止まって考える必要があります。
難解な病気やその治療法について伝えることは確かに難しいかもしれませんが、広報誌を手にとる患者さんやそのご家族は今まさにその病気で苦しんでおられるかもしれません。そうした読者の方は、誌面を読んで少しでも情報を得ようという気持ちで読んでくれるはずです。もちろん、誌面を通してできる限りわかりやすく伝える努力は不可欠ですが、病院広報誌という媒体は一般的な広告物のように「興味がない人にも気づかせる」という工夫よりも、詳しく知りたいという患者さんに正しい情報を届けるという使命を果たせるかどうかが重要になります。
特集のテーマを決める際には「どんな悩みや不安を持つ患者さんに届けたいか?」を具体的にイメージしながら、難しいテーマにも積極的に取り上げていきましょう。