病院広報誌の担当者になると、どなたも気にされる「ユニバーサルデザイン」。さまざまな人にとって読みやすく、見やすい誌面デザインづくりは重要です。
しかし「全ての人」にとって読みやすい誌面というのは、残念ながら存在しません。老眼の方にとっては老眼鏡をかけなくては文字が読みづらいかもしれませんし、色覚障がい者にとっては、色の見え方による違いで病院広報誌を読む際に不都合が生じているかもしれません。
ここで担当者が陥りがちなミスは、例えば「老眼の方のために、文字を全て大きくして読みやすくしよう」とする等、「デザイン性」よりも「機能性」を優先してしまうことです。誌面デザインは、誌面の機能と同等に大切です。全ての人に配慮をするあまり、本来表現したいデザインがないがしろになってしまうのは「広報誌」をつくる上でオススメできません。
バリアフリーデザインとユニバーサルデザインの違い
バリアフリーとは、その意味の通り障がいのある人を前提に、その人にとっての障がいを排除してあげるという考え方です。したがって、目に障がいがある人のために広報誌を点字で発行したりする等が具体的な施策です。
これに対し、ユニバーサルデザインとは「使える人を、より増やしていこう」とする考え方です。言い換えるなら、さまざまな事情がある人を「含め」よりたくさんの方々に「見やすい広報誌」と思って活用してもらえるようにするためのデザイン手法です。
よって、広報誌を読むことに特段不自由を感じていない(目に不自由のない)人も含まれるため、老眼の人「だけ」に考慮するあまり、貴院が目指したい「デザイン性」(文字などで使いたい色、文字の大きさ等)を諦めてしまう必要はないのです。
では、ユニバーサルデザインで大切なこととは何か?
広報誌を作る上で、絶対に忘れてはならない「ユニバーサルカラーデザイン」の鉄則があります。それは「色のみに頼った情報発信をしない!」ということです。
【色のみに頼った情報発信の例】
患者「エレベーターはどこにありますか?」
案内係「真っすぐ行った右側に黄色の柱があるので、そこを右に曲がったところにあります」
【色のみに頼っていない情報発信の例】
患者「エレベーターはどこにありますか?」
案内係「真っすぐ行った右側に黄色の柱があります。その柱には大きく1と数字が書いてあります。そこを右に曲がったところにあります」
どうでしょうか?
たとえば病院広報誌の裏表紙などによく掲載されている「交通アクセス」の「地図」。色だけで幹線道路を読み手に分からせようとしていませんか?
強調したい文字を、色の変化だけで表現していませんか?
色のみに頼ることなく情報発信できる広報誌を目指すことが、ユニバーサルデザインを意識した広報誌への第一歩です。