患者さん向けの病院広報誌は、不特定多数の人が読むものです。個人の範囲で楽しむものではない以上、制作にあたっては著作権を侵害しないよう注意を払う必要があります。
病院広報誌の定番コーナーでも、気づかないうちに著作権侵害となってしまいかねない落とし穴があります。注意点を押さえておきましょう。
・イベントレポートは参加者の作品に要注意
病院で開催するイベントの報告は定番記事のひとつですが、著作権と無縁ではありません。例えば、アートセラピーを目的とした絵の教室を行い、イベントの実績として参加者の作品を広報誌に掲載する場合は、事前に参加者の了承を得る必要があります。
作品は、著名人のものであるかないかにかかわらず、作られた段階で著作権が発生します。自分の作品はいつどのように公表するかは、著作者自身が決められるので、著作者でない人が勝手に公表してはいけません。参加時に広報誌掲載の可能性を伝え、了承してもらうなど、無断使用とならないよう対策を取りましょう。
・料理のレシピにも著作権はある?
料理レシピも定番企画のひとつですが、レシピはそれ自体では著作物と認められません。ウェブサイトや書籍などのレシピの転載には、著作権上の問題はないと言えます。
しかしこれはあくまで、文字情報として表現された調理工程や材料自体に限ったことです。例えば、ウェブサイトからレシピを転載する場合、そこに掲載されている料理の写真などを使用すると、著作権侵害となるので注意しましょう。手順の一つ一つに写真を付けているレシピもありますが、それらの写真は著作物となります。
公開されているレシピをもとに自身で調理したものの写真を使うことは問題ないので、広報誌に掲載する場合は自身で撮影した写真を使用するとよいでしょう。
・ストレッチ方法の紹介、動画を作成するときは…
健康のためのストレッチ方法などを紹介する際、理学療法士がストレッチを実演した動画を作成し、2次元コードで掲載すると仮定します。その際、一から動画の構成などを立てるのは大変なので、既存のストレッチの動画を参考することが考えられるでしょう。
しかし、ストレッチ内容に加えて動画の構成や各カットのアングル、解説など、元の動画が工夫して作成した部分とほとんど同じ内容になってしまうと、いわゆる盗用にあたる可能性があります。
既存動画を見ながら作成する場合はあくまで参考にとどめ、理学療法士のコメントを入れるなど、病院独自の工夫を足していきましょう。
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医療広告ガイドラインなど、病院広報誌を制作する上で気をつけるべき点は多いですが、著作権はあらゆる制作物で遵守することが求められるルールです。知らず知らずのうちに侵害することのないよう、基礎的な内容を押さえておきましょう!