BLOG 『広報誌づくりの困った!を解決』

「がんと闘う人のために副作用の少ない抗がん剤を紹介したい」「月経困難症の方に向けて低用量ピルの紹介をしたい」など、病院広報誌で薬の話題に触れることもあるかと思います。薬を広報誌で紹介する際に気を付けてもらいたいのが医薬品医療機器等法、通称「薬機法」。医薬品や医療機器などの品質や安全性を確保するために定められた法律です。今回は薬機法に違反せずに、薬を紹介するための注意点についてお伝えします。

 

病院内のラックに設置され、院内でのみ配布する病院広報誌は、医療機関における広告規制の指針である「医療広告ガイドライン」の限定解除に該当し、広告ではなく広報と見なされます。広告規制の対象とはなりません。

しかし、誌面内で薬を紹介する場合は次の3つの要件に当てはまると広告であるとされるため、薬機法を順守する必要があります。

 

1.顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昴進させる)意図が明確であること

2.特定医薬品等の商品名が明らかにされていること

3.一般人が認知できる状態であること

 

つまり院外で一般の方が認知できる病院広報誌の誌面内で、PRを目的として商品名を提示することは、薬機法での「広告」に当たるのです。広告として見なされた場合は、次の事項を守る必要があります。

 

・誇大広告の禁止

事実に反する虚偽の表現や誇張した表現は禁止されています。

 

・承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止

承認前の薬や医療機器などを紹介することは禁止されています。

 

・他社商品の誹謗広告の制限

他社商品が劣っているように表現するだけでなく「B社はまだA社の商品の製造方法には至っていない」という他社製品の内容について事実を述べることも禁止されています。

 

・比較広告の禁止

複数の会社の薬を一覧にして金額差や副作用のパーセンテージを記載するなどの「比較広告」は禁止されています。

 

・医薬関係者等の推せん

医師や医療関係者からコメントをもらって信憑性や信頼性をアピールするのは、事実である場合でも禁止されています。

 

 

「ウソの情報を書いて、ある薬を優位に見せる」などは薬機法以前の問題で禁止される行為ですが、薬機法で特に気を付けていただきたいのが、その情報が「事実であっても」禁止されている事項がある点です。良かれと思って書いた文章が、実は薬機法に反していた…ということがあるかもしれません。薬を紹介する際には、改めて薬機法を見直すことが大切です。