広報誌の取材や原稿執筆を医師に依頼した際「忙しいから無理」「他の人に頼んで」と断られ続け、気持ちが折れそうになった経験はありませんか。
「自分の企画や頼み方が悪かったのかな」と落ち込む必要はありません。医師が難色を示す最大の理由は、広報活動を軽視しているからではなく、単に多忙すぎるから。そして日常診療の中で、どれだけ時間を取られるかが分からないという点にあります。
外来や手術、書類作成などに追われる医師にとって、見通しの立たない依頼はそれだけで大きなプレッシャーです。非協力的な医師をうまく巻き込むための実践的なアプローチ方法をご紹介します。
1. 原稿執筆ではなく、短時間のインタビューにする
「原稿を書いてください」という依頼は、とにかく忙しくて時間のない医師にとっては非常に重い負担です。
まずは「原稿執筆をお願いする」という発想を捨て、「インタビュー時間を15分だけいただき、原稿は広報側で構成・作成します。先生には確認(校正)だけお願いします」という形に切り替えてみてください。
15分という具体的な時間を提示することで「それくらいなら」とハードルが一気に下がります。ICレコーダーやスマホで録音する許可をもらい、短時間で効率よく話を引き出すのがポイントです。
2. 質問は、3つの選択肢まで絞り込んで渡す
取材前に「〇〇について話してください」とテーマだけを大枠で渡すと、医師は「何をどう話せばいいのか」などと、事前準備に頭を悩ませてしまいます。取材依頼を出す段階で、以下のように答える内容を絞った質問シートを添えて渡しましょう。
① 〇〇病の初期症状(患者が気づくべきサイン)
② 受診のベストなタイミング
③ 先生から患者さん・ご家族へ伝えたい一言
3つ程度の具体的な質問に絞り込んでおけば、医師も回答のイメージを掴みやすく、当日のインタビューもスムーズに進行します。
3. 確認(校正)すらしてくれないときの対応策
無事にインタビューが終わっても、「完成した原稿を送ったのに返信が来ない」「確認・修正の赤字が戻ってこない」という壁にぶつかることも少なくありません。ここで締め切りが迫ると、広報担当者は胃がキリキリ痛む思いですよね。校正ストレスを極限まで減らすために、下記の3つの対策を試してみてください。
対策① 期限を切り、問題がなければ返信不要と伝える
単に「ご確認をお願いします」と送るのではなく、期限を切った上で「問題がなければご返信不要です(そのまま進行します)」というパスの渡し方を取り入れましょう。医師にとっては「読むだけでOK」になり、返信の手間が省けます。
対策② 確認ポイントに蛍光ペンでハイライトを付ける
全文をくまなく読んでもらうのではなく、「専門用語の表現が合っているか」「数字・数値に誤りがないか」など、医師にしか判断できない箇所だけを目立たせて「ここだけご覧ください」と指定します。
対策③ 医局や外来のスキマ時間に紙で手渡す
メールやチャットでは他の膨大な連絡の中に埋もれてしまいがちです。プリントアウトした原稿に付せんなどを貼り、「1分で読めます」と直接会って渡すようにしてみましょう。
4. 病院や医師自身にとってのメリットを伝える
ただ「広報誌の企画なのでご協力を」と頼むだけでは、多忙な医師の動機付けにはなりません。「協力することでどんな良い変化が起きるか」を具体的に添えて依頼してみましょう。
例えば「専門分野を正しく知ってもらうことで、適切なタイミングで受診できる患者さんの増加が期待できます」「誌面で基本知識を解説しておくことで、外来での説明時間を減らす一助になります」「先生の診療科が取り組んでいる先進的な医療を、地域の患者さんや近隣のクリニックにアピールできます」のように、患者さんへのメリットや日常診療の負担軽減、実績のアピールにつながるストーリーを添えて熱意を伝えることで、医師の納得感がガラリと変わるはずです。
掲載後の感謝の言葉が、次の協力を生む
無事に記事が完成して発行されたら、それだけで終わりにしないで、できあがった誌面と共に感謝の言葉を必ず届けに行きましょう。例えば「掲載後、外来の患者さんから『誌面を読んで安心した』と嬉しいお言葉をいただきました」「他科の先生から『わかりやすい内容だった』と反響がありました」など。
「自分の発信が誰かの役に立った」「患者さんや周囲に届いている」と実感できた医師は、次第に広報の意義を感じ、次回からは最も頼もしいサポーターになってくれるはずです。
医師の事情にも配慮しながら工夫をひとつずつ重ね、良好な関係を築いていきましょう!
