病院の情報を届ける“広報”の役割を担う医療広報誌担当者である場合、最低限の著作権についての知識を持っておく必要があります。今回は基本編として「病院経営と著作権」「著作権とは何か?」からお伝えしたいと思います。
病院経営と著作権
SNSなどが進化した昨今では、個人の発言がニュースになることもしばしば。ネット社会になる以前よりも、個人の発言が重く・拡散しやすくなっています。例えば、医療広報誌で著作権侵害にあたる行為を発見した個人が、SNSで発言すれば瞬く間に社会へと広がってしまいます。
最悪の場合、命とかかわる病院経営において、最も重要である「信頼」という価値を下げてしまうことになりかねません。
著作者の権利を守ることは、病院を守ることにもつながります。写真や文章などの素材を扱う際は、それを制作した著作権者の存在を頭の片隅におき、その方の権利を侵害していないか?と一度立ち止まって考えてみましょう。
そもそも、著作権とは?
著作権の目的は「文化の発展に寄与すること」です。
社会にとって重要である芸術・文化・学術などの文化を守るため、作者である著作者や権利を持つ著作権者の権利を保護する法律です。例えば作品を許諾なく使用されたり、名誉を害する行為を禁止することで、芸術や文化をより豊かにする目的が著作権にはあります。私たちは著作権としう仕組みがあるおかげで、安心して作品など生み出すことができるわけです。
どんなものが著作権にあたるか
思想または感情を創作的に表現したものが著作権にあたります。例えば、小説、音楽の楽曲や歌詞、絵画や彫刻なごの美術作品から、建築映画、写真はプログラムの著作物などがあります。
例えば、小さな子供が描いた絵であっても、創作的な表現があれば著作物にあたります。もちろん医療広報誌や病院広報誌も著作物の一つ。
「これは著作物かな?」と迷ったときは創作的な表現がなされているか、考えてみましょう。
併せて知っておきたいもう一つの権利「肖像権」
医療広報誌などの広報の現場に「おいて、著作権とともにもう一つ覚えていただきたい権利が「肖像権」です。肖像権とは容姿や画像に関する人権のこと。無断で写真や映像を撮られたり、無断で利用されないように主張できる権利のことを言います。
当然、医療広報誌で使う先生や患者さまなどのすべての人はこの肖像権を持っています。その権利を侵害しないよう、必ず広報誌で写真を使用する許諾を取るようにしましょう。
活用次第では、病院の財産に。
著作権について「なんだか難しい…。」とネガティブに捉えられがちですが、実はメリットもたくさんあります。
「知的財産」という言葉、聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、知的財産とは、例えば病院のオリジナルキャラクター、ロゴマークや広報誌などの創造的活動によって生み出されるものを指します。
病院のロゴやキャラクター、広報誌はすべてこの知的財産にあたります。つまり病院の財産であると考えてください。病院のキャラクターグッズやPR素材として活用すれば、病院のイメージを顧客に定着させる財産となります。また、その権利を守ってくれるのが著作権でもあると覚えておきましょう。