
少子高齢化の加速や医療費の増加に伴い、良質で効率的な医療体制の構築が求められ、地域医療における「かかりつけ医」の重要性がますます高まっています。病気や健康について気軽に相談できる特定の医師や医療機関があることで、気になる症状があるときにスムーズに医療にかかることができ、患者にとってもメリットがたくさんあります。しかし、どこをかかりつけにすれば良いのか、と迷う人は少なくありません。特に都心部では選択肢が多いため、通いやすさだけでは選ばれにくいことが現状です。
地域に住む皆さんに「何かあればここに相談しよう」と思ってもらうためには、自院の魅力を感じてもらう必要があります。そこでアピールの場として情報発信に役立つのが病院広報誌です。
求められる「かかりつけ医」とは?
読者の皆さんが日常生活を送る中で、医師と関わることは来院したときしかありません。だからこそ“持ち帰れるメディア”である紙媒体の病院広報誌は、定期的にさまざまな情報を発信でき、患者さんの記憶に残りやすいツールとなります。特にかかりつけ医の需要が高い高齢層は、SNSやWebよりも紙媒体になじみがあり、じっくりと読む傾向があります。手に取れる、待合で読める、持ち帰れる、この手軽さが病院広報誌の強みなのです。
読者がかかりつけ医に求めていることは“治療すること”だけではありません。些細なことでも気軽に相談ができ、ちょっとした不安も受け止めてもらえる「身近な専門家」的な安心感です。まずは、どんな視点で選んでいるかを整理して把握してみましょう。
<厚生労働省が発信している「かかりつけ医」の選び方>
・かかりつけ医は自分で選択できる
・健康に関することを何でも相談できる
・必要な時は専門の医師・医療機関を紹介してくれる
・身近で頼りになる医師
引用:厚生労働省「上手な医療のかかり方」
https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/motou.html
患者さんにとって頼れる存在でなければ、かかりつけ医は務まりません。信頼される医療機関になるために、一人ひとりと向き合い、寄り添った医療を提供し続けている姿を知ってもらう必要があります。
経歴や専門性以上に伝えたい医師の人柄
まずは「医師がどんな人なのか」を知ることが、読者にとって安心材料となります。そのため、誌面で医師の人間的魅力を伝えられるかどうかが大切です。どれほどの優れたキャリアや専門スキルを持っていたとしても、それだけでは響きません。知りたいのは、その医師がどんな考え方を持ち、どんな思いで患者と向き合っているのか、といった内面的な部分です。人柄がにじみ出る内容にこそ読者は共感でき、心理的な距離をグッと縮めることができます。
また、専門用語が多くなりがちですが、読者の多くは医療従事者ではありません。専門的なことをそのまま語るのではなく、読者の目線に置き換えて伝える工夫が必要です。例えば、最新治療の説明でも「この病気にはこんな不安を抱えている患者さんが多い」という患者側の気持ちに寄り添った表現を意識して取り入れるだけでもぐっと読みやすくなるでしょう。
読み手の視点を意識した誌面で一歩先へ
自院の魅力を伝えるためには、読者にとって“自分に関係がある、役に立つ”と感じてもらえる内容を組み込むこと。医師のファンが増えることは、自院に対する信頼や親近感を高めることに直結します。病院広報誌は単なる情報提供ではなく、読者と医療をつなぐ“会話の場”です。会話が読者にとって実のある内容であるほど自院への信頼へとつながり、地域の中での存在感も高まっていきます。
「この先生のことをもっと知りたい」という気持ちをもってもらえることが、かかりつけ医への第一歩です。 “読んで役立つ・親近感が湧く”広報誌をつくり、地域の人々から選ばれる病院を目指していきましょう。