BLOG 『広報誌づくりの困った!を解決』

ユニバーサルデザインをご存じでしょうか?

高齢者や障害者にやさしいデザインを指す「バリアフリー」と混同される方もいらっしゃるかもしれませんが、ユニバーサルデザインとは「多くの方が使いやすいデザイン」のことを指します。特に病院広報誌は子供からお年寄りなど広い世代に向けた媒体です。その中にはさまざまな色覚を持たれる方もいらっしゃいますし、小さい文字が読みにくい方もおられます。そのため、色の使い方の配慮が足りないと色覚障がいのある方に情報が的確に伝わらないことがあります。病院広報・医療広報こそ、どんな方でも見やすいデザインを心掛けたいものですねよね。

 

そこで今回は、病院広報誌におけるユニバーサルデザインについて、その中でも病院広報誌に特に関係がある色覚障がいの方が見やすいデザインついてご紹介したいと思います。

すべてのデザインでユニバーサルデザインを心掛けることはなかなか難しいかもしれませんが、色覚障がいの方が「見えないと困る」病院までの地図、外来表など、まずは重要な事柄のデザインからはじめてみましょう!

 

 

 

色覚障がいとは?

日本人男性に約20人に1人(約5%)、女性は約500人に1人が色覚障がいだと言われています。(参考:日本眼科学会ホームページ)

統計すると日本国内には約320万人の色覚障害のある人がいることになるそうです。

色覚障がいのある方にとって「赤と緑」「青と紫」「深緑と茶色」「水色とピンク」などが選別しにくい色の組み合わせとされています。

なかなか想像しにくいかと思いますが、カラフルな野菜が色覚障がいを持つ方には上のイラストのように見えることもあります。

色覚障がいの方にも見やすい病院広報誌にするために、デザイン制作のPOINTをご紹介しますのでぜひ実践してみてください。

 

 

 

色の使い方のPOINT

1 同系色の組み合わせ、明るい色だけの組み合わせ、暗い色だけの組み合わせはできるだけ避け、明るい色と暗い色を対比させましょう。

2 色名だけで対象物を示さず、文字情報(位置や形の説明・記号)などを追加して分かりやすく工夫しましょう。

3 色と色の境界には白などの細い線で縁取りを行いましょう。

 

たとえば、病院内の標識などが同系色で構成されている場合、色覚障がいの方には下記のように見えます。これでは見えにくいため、不親切ですね。

 

 

文字のPOINT

1 小さい文字はできるだけ避け、小さい文字を利用する場合はできるだけ濃い色を使いましょう。

2 文字と背景には色の明るさで差をつけているか、差のついた色で文字に縁取りをしましょう。

 

 

図形のPOINT

1 院内案内図などは大きく分かりやすい平易な文字、図を使い、明暗のコントラストがはっきりした色を使用しましょう。

2 ピクトグラム(絵文字)を使う場合は、必要に応じて文字表示も併せて行いましょう。

3 日本工業規格(JIS)「標識案内用図記号」を活用しよう。

文字や言葉に代わって表示するものとして、「標準案内用図記号」が定められています。シンプルかつ直感的に情報を伝えられますので、ぜひ活用してみてください。

詳しくはこちらをご覧ください。

日本工業規格(JIS)JIS Z 8210…「標準案内用記号」

http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/pictogram/data/zukigo_panfu_jis110.pdf

 

 

 

確認してみましょう!

あなたの病院の病院広報誌は色覚障がいの方にとって見にくいものになっていませんか?

下記で紹介する方法で確認してみましょう!

白黒コピーしても内容が理解できますか?

出来上がった医療広報誌を白黒印刷してみて、見えにくくないか確かめてみましょう。

 

■パソコンデータの場合、色覚シミュレーションソフトで見分けにくい色などを点検してみましょう!

パソコンデータなどはシュミレーションソフトを使って確認することができます。

病院広報誌の制作で一般的に用いられるソフトIllustrator」や「Photoshop」(CS4以降に限る)でも色覚障がいのある人のプレビュー が可能です。デザイン会社や制作会社に病院広報誌の制作を依頼されている場合は、色覚障がいの方でも問題なく読めるか確認してもらいましょう。

 

■その他確認方法(バリアントール)

その他の確認方法として、色覚障がいのある人が感じている色の見分けにくさを、色覚障がいのない人が体験で きるメガネ型特殊フィルタ・バリアントールで確かめる方法があります。メガネをかけて見るだけで、色覚障がいのある人にと って見分けにくい配色を探し出すことができます。

※バリアントールは、色覚障がいのある人の色の見え方簡易確認ツールですが、パソコ ンのモニターなど発光物体には対応していません。また、色覚障がいのある人の見え方 を完全に再現するものではありません。あくまで参考として活用してください。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

病院広報誌だけでなく、院内のさまざまな標識、処方箋、申込書、説明書などが色覚障がいの方にとって見えにくくなっていないか、今一度確かめてみましょう。

 

ユニバーサルデザインについては各都道府県ごとにガイドラインの設定や、HPで取り組み事例などを公開しています。医療広報全般にとても役立つ内容ですのでぜひ一度ご参照ください。気になる方は→こちら

 

 

(参考:色覚障害のある人に配慮した色使いのガイドライン/大阪府)