病院広報誌の制作をする上で、いつも心にとめておきたいこと。その一つは「伝えたいことの本質を、できるだけ多くの人に、分かりやすく届ける」ことではないでしょうか。
今回は、それを実現するための数ある手法の中から「写真」を例にとって具体例を織り交ぜながら解説したいと思います。
【1】人物写真は「目線あり」にこだわらなくてOK
ドクターの写真を通じて、病院広報誌の制作担当者が読み手に伝えたいことは何でしょうか。「全ての人に安心して受診していただける病院であり、医師であること」である場合、下の写真を見てください。
診察室で撮影したこの写真、2枚とも「安心感を与える」ことに成功しています。人物の写真を掲載するとき、広報担当者によっては、被写体の目線がカメラを見ている、いわゆる「目線ありの写真」を選ぶことが多いと思います。しかし、その写真を掲載する目的が上記のような「安心感を与える」ことである場合は、目線の有無よりも、気にしなくてはならないのは「表情」なのです。
一方、その目的が「新任の先生の紹介」であるなら、今度は「目線あり」の写真が有効です。読み手である患者さんに、まずは顔を覚えてもらうためには、しっかり正面を向き目線がカメラを見ている写真を使ってください。
【2】シンプルにお知らせなどを載せる記事も「工夫」の余地あり
まずは、下の写真を見てください。
同じ薬の写真でも、印象が違ってくると思いませんか?
また、冬季に「インフルエンザ予防の手洗い推進」などを謳う記事を例に考えてみましょう。下の2枚の写真を比べ、どちらが貴院にとって「手洗いの大切さを訴える」という目的を達成しやすいでしょうか。
もちろん、2枚目になると思います。いつも載せているお馴染みの記事でも、工夫ひとつで「伝わりやすさ」がUPします。
【3】色味にも目を配ることが大切
最後に。ほぼ同じ構図の2枚の写真、背景の色が寒色系と暖色系で、読み手にとって印象が違うという話をします。
ここでも、この写真を使って何を伝えたいか、目的のためには、どちらの写真が適しているかを考えます。例えば、暑中見舞い(夏の休診のお知らせ)を想定した場合。同じ要素(文章・イラストなど)を使った場合でも、こんなにも違います。しっくりくるのは、寒色系の青。逆に、イメージがちぐはぐになっているのが暖色系のオレンジではないでしょうか。
いかがですか? 写真の撮り方や、撮った写真の選定などに迷ったときは、「その素材(写真)を使って、読み手に伝えたいこと、その目的」を意識すると、広報誌の質は大きく変わります。