BLOG 『広報誌づくりの困った!を解決』

「医療広告ガイドライン」は、患者さんが適切な治療を選択できるよう、客観的で正確な情報を提供することを定めた、医療広告のルールおよび指針です。

病院広報誌も発行目的や配布方法次第では「広告」とみなされ、ガイドラインの規制対象になることがあるのをご存知でしょうか。

 

医療広告に該当するのは、次の2つの条件をともに満たす場合です。

・患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
・医療機関や医師の名称が特定できること(特定性)

病院広報誌は病院の名前を出しているので、②には必ず該当します。①については、配布場所を院内に限っている場合は、受診を誘引しているわけではないので該当しません。しかし受診したことのない地域住民にも手に取ってもらえるよう、グループ施設のラックなどを含めて院外で設置・配布している場合は誘引性があるとみなされ、広告に該当するためガイドラインを遵守した誌面作りが必要です。以下に、院外配布を目的とした病院広報誌の定番企画で気を付けるべき例を紹介しますので、参考にしてください。

 

治療法などの紹介では「優れていること」の表現に落とし穴アリ

 

院内で行っている治療法を紹介する記事では、できるだけその効果の高さを実感してもらえるよう、キャッチコピーや本文にさまざまな工夫を加えると思います。

その際「〇〇の治療では、県内でも有数の実績あり!」「〇〇治療法の設備が県内では最も充実しています」といった表現は、他院と比較して自院の方が優れていることを伝えようとする「比較優良広告」として禁止されているので避けましょう。また「〇〇の治療では最先端の設備を整えています」といった表現も、特定の治療法・医療機器を「最先端」とすることは「誇大広告」にあたるので認められていません。

自院が優れていることを伝える表現は、患者さんの「ここを受診しよう」という判断に直結します。だからこそ、正確な判断を妨げないように避けなくてはいけない表現が定められているのです。

 

医師の紹介はプロフィールの内容に注意

医師の紹介記事を掲載するときは、専門性が高いこと、信頼のおける医師であることをしっかり伝えたいもの。しかしどのような専門性を持っているのかは、患者さんにとってきわめて重要な情報となるため、いくつかルールが定められています。

たとえば各種学会をはじめとする団体(厚生労働大臣が届出を受理した団体)の専門性資格については、「団体名」と「団体が認定する資格名」を記載しなければ使用できません。「日本循環器学会認定 循環器専門医」という表記は問題ありませんが「日本循環器学会認定 専門医」などと省略することは認められていないので、原稿チェック時には気を付けましょう。また特定の医師のキャリアとして「新聞や雑誌等で医師が紹介された」ことや「手術件数」を記載するのも基本的にNGとされています。

医療広告においては、医療法等によって広告できる内容が決まっています。しかし下記の要件を満たしていればこの限定が解除されるので、他の事項についても記載できるようになります。

・医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
・表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること

 

 

医療広告ガイドラインの違反があった場合、該当の広告は禁止され、中止・是正命令や罰則が科されることがあります。

病院の信頼を守るためにも、自院の広報誌が広告に該当する場合は、必ずガイドラインを遵守して制作することが必要です。患者さんに信頼してもらえる病院であり続けるために、ガイドラインに則った制作を心がけていきましょう。