
さまざまな料理のレシピは、多くの雑誌やSNSにアップされ情報があふれています。その中で、あえて病院広報誌で「レシピ紹介」を掲載する意味はどこにあるのでしょうか。
近年、生活習慣病や慢性疾患の患者数は増え続けています。病院に通う人たちが関心を寄せているのは、治療方法だけでなく「毎日の暮らしをどう整えるか」です。そのため、病院広報誌での料理レシピは「健康に役立つ情報」として編集できているかどうかにかかっています。単なる旬な食材を使ったレシピ紹介ではなく、患者さんや地域の方の生活に寄り添う工夫を加えることで、“病院広報誌だからこそ届けられる情報”へと変わります。読者の背景を考え、紙面を開くきっかけとなる人気コーナーにするためのポイントを整理していきましょう。
誰に届けたいか(読者像と目的)を明確にする
最初に考えるべきは「ターゲットと目的」です。例えば、糖尿病の患者さん向けに血糖コントロールを目的とした料理と、手術後の体力回復を目指す高齢者向けの料理とでは、選ぶ食材も伝え方も変わります。読者が”自分向けの情報”と感じるかどうかが大切なポイントです。
具体的なお悩みやニーズに応えられるように、想定するターゲットをもっと細かく絞って「45歳女性、大手菓子食品メーカーで課長職、家族は夫と小学生の子ども2人、糖尿病に罹患しており月1回検査と投薬、運動療法を受けるために通院中」などのペルソナを設定してみましょう。選ぶレシピや書き方の方向性をさらに明確にすることができます。万人向けでは、結局どの層にも響かない記事になりがちです。
季節感のあるイベントと結びつける
次に、旬を楽しむ秋の食材や体を温める冬料理など、病院広報誌の発行時期である季節を意識してみましょう。そこからさらに「飲み会で疲れた胃腸をいたわる朝ごはん」「秋の夜長におすすめの消化のよい夜食」など季節ごとのイベントと”医療”の視点を結びつけてみてください。貴院ならではのターゲットに合わせた見出しを入れることで、単なる料理紹介ではなく“健康と暮らしに役立つ情報”という印象へと変えることができます。
専門家からのアドバイスが重要
病院広報誌で掲載する料理レシピの最大の魅力は、貴院の“栄養士・管理栄養士が考案している”点にあります。一般のレシピ紹介とは違い、栄養バランスや食事制限への配慮といった“医療の視点”が背景にあるため、読者は高い信頼感を持っています。この強みを活かすためには「なぜこの食材・調理法が良いのか」をわかりやすく伝えましょう。
例えば担当の栄養士に登場してもらい「一言アドバイス」をレシピの横に添えたり、食材の効能をアイコン化して視覚で楽しめるようなイラストの掲載、「食材の置き換え例」や「一人分にするときの工夫ポイント」などの記載も、実践までのハードルを下げるきっかけとなるでしょう。
どうすれば読者にとって役立つ情報になるのか、試したくなるのかを考えることで、料理レシピは“読み流す情報”から“役に立つお楽しみコンテンツ”へと変わります。健康と暮らしに寄り添う視点を持ち、病院広報誌としての信頼性を生み出していきましょう。