
制作担当者の皆さん、こんにちは。広報誌の制作で陥りがちなことのひとつに、レイアウトのパターン化が挙げられます。内容が変わっても、レイアウトがパターン化していると、タイトルが違っているだけの新鮮味の少ない記事になってしまいます。
そんな時にはまず「写真の配置」を見直してみましょう。ポイントは、読みたくなるように写真で誌面を“見せる”こと。写真は置き方ひとつで、紙面全体の印象をがらりと変えることができる重要なアイテムなのです。
情報伝達効果を高める
広報誌には写真の掲載が欠かせませんが、配置パターンが固定化している誌面は少なくありません。読みやすさを意識したとはいえ、毎回繰り返していると、読者には既視感が生まれ、写真の人が変わっていても気付かれない可能性が出てきます。
定例となっている同じ文章でも、写真の配置を工夫することで誌面に「動き」や「ストーリー」が生まれます。例えば、見出しの上に大きく配置すると読者の目線を最初に引きつけやすくなり、逆に文末に写真を添えると内容を補足する役割を果たします。見せ方によって、文字よりも心を引きつけることができ、情報をより伝わりやすくすることができます。
<↓同じ写真を使っても置き方で印象が変わる例>
緩急をつけてメリハリを出す
制作を進めていく中で陥りやすいことのひとつが「内容を均等に見せようとする」ことです。“どの情報も大切”“満遍なく掲載したい”という思いはありますよね。しかし、それでは見せ場をつくることができず、誌面全体が平板な印象になってしまいます。読者が読みたくなる誌面をつくるには、メリハリが必要です。例えば、トップページは写真と文章を大胆にレイアウトした興味を引く構成、次のページでは一転して、読みやすさ重視のシンプルなレイアウトにするなど。デザインのトンマナを揃えつつも、ページごとに写真の置き方に変化をつけることで「リズム」が生まれ、読みやすくなります。
医師のインタビューやイベントのレポート記事などは、読者の関心も高いコンテンツです。思い切って見開きの真ん中に写真を配置してみると、誌面に動きが出ます。また、三片断ち落としにして写真を大きく扱うと、インパクトをもたせることができます。誌面が寂しいと感じる時は、写真を背景に敷いてみましょう。その場合は、文章が読みにくくならないように、写真のトーン調整を忘れないようにしてください。
読む前から興味をもってもらうために
病院広報誌を「手に取ってもらう」ためには「パッと見たときの印象」が重要な決め手になります。笑顔の医師やスタッフの写真を表紙に大きく配置することで、力強さや親しみやすさが生まれます。中面の場合でも、印象的な見出しとともに、アイキャッチとなるようなパワーのある写真をどんと配置することで“面白そう”と思わせる効果が期待できます。たくさんの写真を載せたいといは、画一的な大きさにするのではなく、写真のサイズを大・中・小に決めて配置すると、きれいにまとまりやすくなります。写真が生み出す視覚的影響を利用して、紙面の中に自然な「導線」をつくることを意識してみてください。
これまでと同じ素材を使っても、写真の見せ方を変えると誌面の印象ががらりと変わります。体裁を整えるためだけにただ関連する写真を並べるのではなく、一枚一枚がもつ意味を考慮して、誌面が引き立つよう工夫して配置してみましょう。たったそれだけのことで読者の注意を惹くことができ、“読みたい”と思われる広報誌にすることができます。