
広報誌の発行を続け、制作に慣れてくると、気づかないうちに「決まったことの繰り返し」になり、作業が機械的になってしまう…という経験はありませんか。
読まれる広報誌をつくるには、そのような制作上の「当たり前」を疑い、読者目線で見直していくことが大切です。今回は患者さん向け広報誌のご担当者様向けに、いつの間にか「当たり前」になっている可能性のあるポイントをご紹介します。
「外来担当医表」を毎号掲載する必要はある?
医師の診察時間をまとめた「外来担当医表」は広報誌に掲載されることの多いもののひとつで、裏表紙などで毎号掲載している広報誌も多く見受けられます。
病院の規模によっては「外来担当医表」が変更される機会が少なく、毎号同じ表を掲載し続けているケースもあるかもしれません。その場合、患者さんは同じ情報を何度も受け取ることになります。表の更新頻度にもよりますが、2号につき1回にするなど掲載ペースを減らし、その代わりに院内のイベント情報や医療コラムにスペースを割いてはいかがでしょうか。
ただし、中核病院など病床数の多い病院では、医師の診察時間が短期間で変更されたり、診療科によって診察時間が異なったりします。患者さんにとってはぜひ知りたい情報になるので、その場合は毎号掲載する必要性が高いといえます。
自院では、表の変更がどの程度頻繁に行われるのか、毎号掲載するニーズが患者さんにあるかといった観点で、掲載ペースを検討しましょう。
記事内の「文章と写真のバランス」は今のままでOK?
広報誌の記事は「一定量の文章と写真、もしくはイラスト」の組み合わせで構成されるケースが多いと思いますが、どの記事でもその組み合わせを守らないといけないわけではありません。
たとえば「病院に新しい設備を導入した」ことを知らせる場合、写真と簡単な説明だけでも導入したという事実は伝わります。そのため「県内初の導入」などニュース性が高い場合はスペースを割いて文章でもしっかり伝えるべきですが、そうでない場合はどこまで詳しく伝えるかを検討する必要があります。
大切なのは、広報誌のターゲット・特性に合わせて、文章と写真のバランスを考えること。地域の医療機関などを対象とした地域医療連携誌では、読者である医師に読んでもらえる確率を上げるために、あえて文章を極力減らし写真を中心に構成している例もあります。その記事を通して何を伝えるべきなのかを整理し、文章と写真のバランスを整えましょう。
判型は今のものがベスト?
広報誌をなかなか手に取ってもらえない…といった悩みがある場合は、判型の変更を検討してもいいかもしれません。
医療機関の広報誌はA4判のものが主流ですが、一般的なチラシやパンフレット等と同じサイズのため、院内のラックで目立ちにくい場合もあります。
患者さんからすれば、A4判は大きいためそのままだとカバンに入れづらく、かといって折りたたむのも気が引けて、持ち帰りにくいと思っている可能性があります。ひとつサイズを下げてB5判にしたり、反対に「小さくたたみやすい」という利点を生かしてタブロイド判にしたりすることも考えられます。
また、A4・B5をベースに一定の範囲で自由に紙のサイズを変えられるA4変型・B5変型などで発行されている広報誌もあります。印刷費は少し高くなりますが、デザイン性が高くブランドイメージの向上に役立つので、気になる場合は印刷所に相談してみましょう。
判型に正解はないので、自院にとってベストな形を模索してみてはいかがでしょうか。
当たり前を疑うことは、広報誌制作がマンネリ化していないかを点検するということでもあります。定期的に広報誌づくりのプロセスや各ページの内容を振り返り、今よりもさらに多くの患者さんに読んでもらえる広報誌をつくっていきましょう!