BLOG 『広報誌づくりの困った!を解決』

ご担当者の皆さんこんにちは。病院広報誌を発行するにあたり読者のターゲット層があるかと思いますが、年齢によって色の見え方が違うことをご存知でしょうか。「色の見え方は誰もが同じ」という前提で、考えることなくデザインを組んでいないでしょうか。

年齢を重ねると水晶体のレンズが老化するだけではなく、紫外線により濁りが生じ始めます。進行は40代頃から始まることが多く黄みが増し、70代以上になると茶色のサングラスをかけて見ているかのように変化していきます。このような目の機能の低下によって、色の区別がつきにくくなったり、明るい・暗い場所では文字が見えにくくなってしまうのです。シニア層へもアプローチしていくためには、視認性や安心感を高めるための工夫が必要です。ターゲット層を意識した誌面をつくっていきましょう。

コントラストはっきりと!明度・彩度が同じ色は避けよう

水晶体の変化によって青色などの寒色系は見えにくくなる傾向があり、はっきりとした明暗差がない配色は、色の識別が難しくなります。例えば、明度が低いグレー×黒や青×緑、明度が高い黄×白などは、一色単に見えてしまいやすいです。逆に、黄変の影響を受けにくい緑色や鮮やかな赤やオレンジなどの暖色系は、認識しやすい色味といわれています。淡い色や同色の組み合わせは避け、文字と背景との間にはっきりとした色の差をつけることで、視認性を高めることができます。

「読めない」という状態を解消するために、すべての人に情報が伝わるよう利用者の視点にあってデザインをする“カラーユニバーサルデザイン”を取り入れてみましょう。

↑見えにくい配色例

↑見やすい配色例

フォント・行間も見直そう

文字サイズを大きくすることはもちろんですが、余裕を持たせて、文字サイズより1.5倍ほど行間を空けるだけで、一つの行の追いやすさは大きく変わります。フォントは、シンプルな形のゴシック体がおすすめです。線の強弱や日本語ならではの“はね・はらい”が判断しやすい明朝体は、落ち着いた品のある印象を与えることができますが、細すぎると読みづらくなります。明朝体を使用したい場合はキャッチコピーで取り入れたり、線が少し太い游明朝を使うなど、用途に合わせて変えるようにしましょう。

また、文字バランスだけではなく余白は十分にとり、情報を詰め込みすぎないレイアウトにすることで可読性を高めることができます。

 


シニア層に向けた誌面づくりでの視覚的配慮は、単なるデザインの要素ではなく、貴院の思いやりを伝える手段の一つでもあります。色彩やフォントサイズ、情報量やレイアウトのバランスなどのさまざまな視点で工夫をし、一貫性を持たせた構成で、読者層を広めていきましょう。