病院広報誌の制作を進めていくと、伝えるべきこと、伝えたいことがたくさん出てくるかと思います。これらの情報を一方的に発信すると、情報量が多くなりすぎてしまい、結果、何が伝えたいのか分かりにくくなってしまいます。
重要なのは病院として「何を伝えたいか」と患者さんの「何が知りたいか」をつなげること。
今回は、より「伝わる」誌面にするためのちょっとしたポイントをお伝えします。
1. 情報に順位をつけよう
一般的な読者は、冊子の前半部分を重要な情報として認識しています。とはいえ、せっかく載せた情報を読み飛ばされることは避けたいですよね。そこで、掲載順に記事の緩急をつけることで読ませ方をデザインすることが大切です。
掲載候補として、次の内容が上がったとします。
・市民向け公開講座のレポート
・オンライン受診予約のお知らせ
・看護師募集の告知
・整形外科に県内初の人工関節置換手術支援ロボットを導入
・新入職員紹介
これらをどのように掲載するか考えてみましょう。
まずはこれらの情報を重要度別に並べ、「特集」や「インフォメーション」などの項目に振り分けてみましょう。「特集」は広報誌のメインの企画となるもので、ボリュームが大きく、通常ページの前半に掲載することが多いコンテンツです。特集にするほどの情報量ではない、病院で行ったイベントやお知らせは「インフォメーション」コーナーにまとめてみましょう。
今回の場合、以下のように振り分けてみました。
❶特集:整形外科に県内初の人工関節置換手術支援ロボットを導入
❷通常記事:新入職員紹介
❸インフォメーション:
・市民向け公開講座のレポート
・オンライン受診予約のお知らせ
・看護師募集の告知
いかがでしょうか。どれが一番に伝えたい情報なのかが分かるページ構成になりましたね。
2. 患者さんに受け入れられやすいテーマを切り口にするのがおすすめ
さて、特集は「整形外科に県内初の人工関節置換手術支援ロボットを導入」となりました。それでは、この内容をどんな流れで紹介すれば「伝わる」ようになるかを検討してみましょう。
ここで改めて考えてほしいのが、読者のことです。病院広報誌のメイン読者は医療知識のない患者さんですので、いきなり人工関節置換支援ロボットを紹介されても「自分には関係のない話」として捉えられてしまいます。
そこで、読者が受け入れやすい身近なテーマを最初の切り口にして、人工関節置換支援ロボットの説明へと誘導していく流れにしてみましょう。
<具体例:リウマチを切り口に>
人工関節置換支援ロボットでの手術が必要な患者さんは、主に関節リウマチや変形性関節症を患った方。そこで記事の切り口を患者さんにとって耳なじみのある「リウマチ」として設定してみます。
まずはリウマチの初期症状に触れ、どんなメカニズムで引き起こされ、どんな予防方法や治療方法があるのかを説明します。そしてリウマチが進行して関節が破壊され、変形してしまった場合、関節置換の手術が必要になることを伝えます。このとき、文章だけではなくイラストや図解、写真などのビジュアルをうまく使い、分かりやすく簡潔に伝えることが重要です。医師のコメントを差し込んでもよいでしょう。
最後に、人工関節置換手術支援ロボットを導入し、どんな方法で手術ができるようになったか、ロボットについての詳しい解説と整形外科の診療実績で結びましょう。
いきなりロボットの説明から入るよりは、患者さんにとって“自分ごと”となり、興味関心を持ってもらいやすくなります。集患のためには、ロボットの性能はもちろんのこと、読者がリウマチになったときに「この病院ならしっかりと対応してもらえそうだ」というイメージを持ってもらうことが大切です。
いかがでしょうか。
「これが伝えたい!」という思いが強くても、読者目線で伝え方や内容を工夫しないと、読んでもらえる記事にはなりません。伝えたい情報と読者が知りたい情報のバランスをうまく取りながら、誌面作りに取り組んでいってください。